「筑後の魅力再発見」がテーマ。

出演・・・筑後文化村・村長の島添正信さん、久留米大学教授・駄田井正先生
目的・・・筑後を愛し独自の活動を続けているお二人の筑後談議から、お客様(ネットユーザーも)に筑後の素晴らしさを再発見していただく。

筑後文化村・村長の島添正信さん:
「筑後のように、これだけの文化や歴史、工芸等の技術がある地域は日本でもそうない。また、筑後文化村のような活動ができる地域は日本でもここしかなく、世界でも稀だ」と語る。『筑後文化村』を作る為に、いろいろなところを歩く際、その歴史に驚き、様々な技術や作品に感動を覚えたそう。

久留米大学経済学部教授・駄田井正先生:
昭和19年生まれ。久留米大学経済学部教授。久留米大学産業経済研究所所長 経済学部長 NPO法人筑後川流域連携倶楽部理事長ほか 
筑後川流域連携倶楽部の先進的かつ、独創的な活動は、さまざまなところで評価され、沢山の賞を受賞。筑後川流域を壮大なリバーパークにみたて、様々な活動を企画されている。


島添村長
筑後は、世界で唯一無二の食材、手工芸品の宝庫

島添
「2年半前、筑後文化村を立ち上げるにあたって、この地域をくまなく見て回ったが、この地域はなんてすばらしいんだ!というのが第一の感想。これほど一つの地域の中に、食材、手工芸品など、質の高い様々なものが集まっている地域は、日本でも、いや、世界でもほかにない」
駄田井
「筑後川流域は、上・中・下流で、特徴がハッキリ分かれて、自然も川あり、海あり、山あり。それにともなって、食材も、手工芸品も様々。日本にあるものは全て筑後にあるといっていいほどで、日本の縮図みたいなもの」
筑後に息づく手工芸品たち

島添
「例えば八女地区では、八女提灯や石灯籠が有名。八女提灯一つ見ても、竹、和紙、フサと、いろんな技術が使われている。
八女の石灯籠に使われている八女石は、空気穴があって、加工しやすく、石ゴケがつきやすいのが特徴。美しい石ゴケを早くつけるために、、昔から米汁をつけていたとか。筑後各地には、長い歴史の中で育まれてきた素晴らしい手工芸品・技があり、気候風土にあわせた知恵がある」
駄田井
「技術の歴史をたどると、意外性があって面白い。例えば、八女電照菊をつくる時の覆いは、八女提灯の竹細工の技術が使われたのではないか。また、八女の棚田の石垣は、矢部村の金山をつくる時の技術が応用されたのではないか。
また、長崎が近く筑後は通過点のため、その際、技術が伝えられた歴史もあるはず」


駄田井先生

素晴らしい筑後の職人の技

島添
「ある職人さんは、木工品をつくる際、かんなで削ったけずりカスをなめ、その感触で、材質はもちろん、乾燥の具合などで、微妙にかわる塗料の配合を的確に指示する。当たり前のようにやっていることが、経験に裏打ちされた素晴らしい技で、これには鳥肌がたったほど。
また、筑後地区は細工の素晴らしさも特筆すべき。作品を前に圧倒されて動けなくなったこともある。と同時に、何故こんな素晴らしいものが、もっと表に出ないのだろうかと、悔しくなった」
これからの手工芸品のあり方

島添
「高度成長期とともに、手工芸品が敬遠されがちになったのは、急速に変化してきた生活スタイルに合わなくなってしまったため。例えば、城島瓦はいぶし銀の美しい瓦だが、重たい瓦を使う家が少なくなってきてしまった。
そもそも、手工芸品とは生活の中で使われてこそのもの。『伝統』手工芸品とはいえ、現代に合わせた作品つくりや、使い方を提案していかなければならない。
城島瓦の場合、職人さんたちは鬼瓦を作られたりと素晴らしい技術を持っているが、一方で職人さんは『デザイン』をしたことがない。そこで、職人さんの『技術』と、筑後文化村の『デザイン』をコラボレーションさせてできたのが、手形のワインラックや、インテリア照明などだ。素晴らしい技術と、現代のニーズにあったデザインなどが合わさることで、現代の生活の中に活きる筑後手工芸品となるはず」



和紙フロア照明

八女の手漉き和紙は、矢部川の清流を利用して椿などを原料に作られる、長い伝統を誇る芸術品です。


フロア照明

伝統的な八女提灯と竹細工の繊細で美しい技術を生かした照明です

今こそ、日本の伝統的なもの、手工芸品が見直される時代

駄田井
「これからは、手工芸品など日本の伝統的なものが見直されている時代で、今はちょうどその曲がり角。日本の伝統的なものは、我々世代には懐かしく、若い世代には新鮮」
島添
「高度経済成長期、モノを買ったり、公害を引きおこしたりしながら、消費者も学習した。それを経て、美しく、あたたかく、癒しがあり、環境にやさしい、伝統的な文化・手工芸品の良さが見直されている」
世界的にも日本文化は優れている

駄田井

「近代美術は、日本の浮世絵の影響を多分に受けているなど、日本人が傾倒してきた西洋のもの中には、元々日本古来のものがある。あのヴィトンの模様は、すっきりした日本の家紋がヒント」
島添
「ヴィトンの世界の売り上げの80%近くが日本人。商品開発も日本を意識。新作には市松模様からヒントを得たもの。世界の方が日本文化の素晴らしさに気づいている」


瓦の灯り【城島町瓦組合】

ランプシェードには「城島瓦」の素材(粘土)と技術がまた、土台には大川の木工技術が生かされたオリジナルのフロア照明。直線的デモダンなデザインが、和室にも洋室にも合う、独特な趣を漂わせます。

日本独自の手工芸品が持つ美しさ、これこそ日本活性の鍵

駄田井
「世の中、デフレとかモノが売れないと言うが、それは売れるものをつくっていないから。でも、本当にいいものはコストが高くて儲からない(笑)。時代は、『大量消費』→『少量多品種』と移行し、これからは『一商品一生産』=『世界でただ一つの手作り』の時代。モノを買うことから、生活文化を高めることに喜びを感じる時代となってきている」
島添
「今の日本は、モノは何でも持っている。その中でさらに持っていたいものは何か。それは、生活に潤いを与え、美しく、あたたかく、環境にもやさしい、生活手工芸品では」
駄田井
「幕末、西洋人が日本人の生活をみて、生活用品すべてが芸術作品だといった。元々、日本には生活美があった。これからは、実用的でかつ美的であるものが主流となるだろう」
島添
「美しさの中にこそ、感動が生まれる。日本の伝統的なものには、お茶の作法などもそうだが、手工芸品にも独特の『間』があり、独自の美がある」
駄田井
「経済低迷と言うが、日本独自のものの美しさを追求していくところに、日本活性の鍵があるはず」
筑後の文化に誇りを。筑後ブランドを世界へ

駄田井

「これまでの中央集権型の風潮が、地域の文化を衰退させた。もっと九州は、中央のマネでなく、九州独自のものに誇りを持って、展開していくべき」
島添
「筑後地域をまわりながら、何故、『筑後ブランド』をつけないのか、筑後のものに博多などの名前をつけてしまうのかと、疑問に感じた。筑後にあるものは、世界に出してもいいほど素晴らしいものなのに、皆にその認識がない。もっと『筑後ブランド』に誇りを持つこと。そして、外から見て「筑後ブランド」とはどういうものなのか、どうPRすべきなのかといった、もう一つの視点を持つことが大事」
駄田井
「ぜひ、『筑後ブランド』を確立し、世界へPRしていきましょう!」